スローなコメディにしてくれ
Photo N.Kurisu

2017.9.4

「インスタ映え」する立ち食い蕎麦を求めて。千歳船橋「八兆」さん。

by 須田 泰成

コメディライター日記

最も「インスタ映え」する料理って何だろう?

寿司? フレンチ? スイーツ? 

ビジュアル・インパクト強めの料理は、いろいろありますが、
寿司もフレンチもスイーツも、見栄映えが良いのは当り前で、
「インスタ映え」が「インスタ慣れ」となり、
驚きが減ってきたのは否めませんよね。

そんな中、「スローなコメディにしてくれ」編集部は、
意外な「インスタ映え」料理に気づいてしまいました。

それは、なんと立ち食い蕎麦。

東京・世田谷。小田急線・千歳船橋駅すぐの
「八兆」というお店の温かい蕎麦のビジュアルが、
とても美しいうえに、深いんです。

お店の外観は、普通に庶民的な感じ。
クリーニング屋さんの隣、奥は駅の改札口。

入ってみると本格派。
これが「八兆」の温かい蕎麦+天婦羅シリーズ。

かきあげ天そば

サクサクあがった天婦羅が、
黒光りする透明度の高いつゆに浮かんでいます。
天婦羅の島が程よい大きさなので、
丼の中で蕎麦がゆったり泳ぐ姿が見えるのが微笑ましく。
つゆの湖面に蛍光灯の光が照り映える様子が、また美しい。
繰り返し眺めても、飽きの来ない秋の情景。

天婦羅の種類が変わると、風情も変わるので、
以下の写真たちを順番に眺めていただければと思います。

春菊天そば×2

いんげん天そば

さやえんどう天そば

唐揚げそば+わかめ

唐揚げは、そのままトッピングするのではなく、
食べやすい一口大のものが並べられているのが優しい。。
鳥もも肉の切り口とわかめの濃い緑のハーモニーもいとおかし。

日替わりの天婦羅の種類によっては、
こんなアートな一杯も。

れんこん天と赤ピーマン、黄ピーマントッピング

栗の天婦羅そば。

「八兆」さんは、
最近は少なくなってきた個人経営の立ち食い蕎麦屋です。

実は、筆者は、1998年頃から数年間、
小田急線が高架になる前、
いまはなくなった商店街にあった「八兆」さんによく通っていたのでした。

出汁のきいた、ほのかに甘い上品なつゆと
大鍋で茹でた少しやわらかい太い麺の相性が癖になりました。

昨年あたりから、再び通う頻度があがり、
変わらぬ味を楽しんでいましたが、
スマホが普及して、「インスタ映え」という言葉が流行り、
20年前には気づかなかった
「八兆」さんの温かいそばの美しさに気づいたのでした。

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須田 泰成

「スローなコメディにしてくれ」
 編集長+プロデューサー+ライター。
always look on the bright side of human life♩な
「もの+こと+ひと」を取り上げながら、
地域や企業のリアル・ムーブメントも熟成発酵させている。

世田谷区経堂と全国の地域の生産者と文化をつなぐ
経堂系ドットコムを2000年から運営。
イベント酒場さばのゆをハブに全国のつながりを醸す日々。
東日本大震災の津波で流された石巻の缶詰工場・木の屋石巻水産
の泥まみれの缶詰を洗って売るプロジェクトは、
さばのゆから全国に広まり、約27万個を販売。
工場再建のきっかけとなった実話をまとめた
復興ノンフィクション
『蘇るサバ缶〜震災と希望と人情商店街〜』(廣済堂出版)が
2018年3月に出版された。
その他、経堂こども文化食堂など、ソーシャルな活動も多い。

本業は、著述、映像・WEB制作、各種プロデュース。
著書に『モンティパイソン大全』(洋泉社)、など。
脚本・シリーズ構成に『ベイビー・フィリックス』(NHK),
『スーパー人形劇ドラムカンナの冒険』(NHK)など多数。

『シャキーン!』(NHK)『すっぴん!』(NHKラジオ第一)
などの番組立ち上げもいろいろ。

テレビ、ラジオ、WEB、脚本、構成、
執筆、制作、講演などの仕事多数。
お仕事も承っております。
Twitter:@yasunarisuda
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