2017.8.9
南伊勢のギラが街と酒場をギラギラ(笑)させるプロジェクト
味がいいのに捨てられる魚を活用する
ギラは、こんな小魚。
大きく育っても7センチほど。
沿岸部にたくさん生息し、
全国で定置網や底引き網にかかる魚です。
一般には、オキヒイラギという呼び名がポピュラーなようです。
ヒイラギの葉に似たルックス。
沖にいるからオキヒイラギですね。
この魚は、好んで食べられる地域と、まったく見向きもされない地域が、
ハッキリと別れる魚です。
例えば、高知県に行くと、ニロギと呼ばれて、
居酒屋、スーパーで干したニロギを普通に見かけることができます。
ちょっと炙ったのが、とてもウマい魚です。
ほんのりとした苦味があり、それが酒にあい、
大人の味覚の楽しみがあります。
ただ問題は、まったく見向きもされない地域があるということです。
本コラムのタイトルに
「南伊勢のギラは、酒場をギラギラさせるか?」とありますが、
実は、伊勢志摩国立公園にある三重県南伊勢町では、
このギラ(=オキヒイラギ)が、たくさん獲れるにも関わらず、
食べる習慣、商品化して売る習慣がなく、
これまで獲れると廃棄してきたというのです。
実は、筆者は、経堂の街をサバで盛り上げる取り組みを
震災の数年前の2007年から続けており、
サバの水揚げが多い地域には、いろいろ足を運んで、
生産者の方々と経堂エリアの飲食店をつないできました。
なかには一年に数回以上、酒を酌み交わす仲になるほど
密な関係性も生まれています。
南伊勢には、
「奈屋浦漁港」という日本有数のサバの水揚げ漁港があると聞き、
単身、行ってきました。
私が経営するイベント酒場さばのゆのお客サバが、
たまたま南伊勢の地域活性を行っている小川伸司さんとつながりがあり、
前もって紹介していただいての訪問でした。
いろいろご案内いただくと、
南伊勢のリアス式の海は、とても豊かで、山も果樹の栽培に適し、
炭焼きや、塩づくりもある素晴らしいところでした。
ただ、産業と公共交通機関が少なく、過疎と高齢化が進み、
この先が、かなり危ぶまれている自治体でもありました。
生産地としての南伊勢とつながると面白い化学反応が起きる。
そう確信した筆者は、小川さんに相談して、
「経堂南伊勢町うまいものフェスタ!」というイベントを
経堂の街の飲食店ネットワークを舞台に始めました。
そして、第二回目が終わった7月のある日のこと、
小川さんから、こんな連絡が入ったのです。
「南伊勢のギラ(=オキヒイラギ)おいしいのに、食べる習慣がなく、
捨てられているんです。もしも経堂に使ってくださるお店があれば、
一夜干しをリーズナブルな値段で値段で仕入れてただけるよう、
水産業者さんと話してみます」と。
そして、送っていただいたギラを軽く炙って食べると、
これまで食べたことのあるももより薄く、骨がやわらかめ、
自然の塩分そのままでウマく、噛むほどに、
心地よい苦味が口に広がる、格好の酒のアテでした。
値段も魚介類の干物にしては、かなり優しい、
国産の鶏もも肉くらいのお値段。
これから東京の飲食店(特に酒場)のビジネスの材料になるはず。
早速、近隣の飲食店に持くと、いいリアクションが返ってきました。