2017.4.17
ムコの力で伝統再生。江戸型染めの生活雑貨ポンピン堂。
ムコの力で地域と伝統を再生する[第一回]
ポンピン堂 大野耕作さん
江戸型染めの魅力を広めるために
日本の伝統色と古典柄をリデザインして、
現代の暮らしに合う生活雑貨を製造するポンピン堂。
オリジナルの守袋が大人気だが、
慶応三年創業の老舗・江戸型染め屋・更銈(さらけい)に
新しい風を吹き込み、ポンピン堂を立ち上げた背景には、
両親がクリスチャンで、母親はピアノ教師、
日本の伝統文化とまったく縁がない環境で育ったムコの力(ちから)があった。
江戸の遊び心がつまった守袋が人気商品に
浅草に工房があるポンピン堂の
江戸型染めによる「守袋(まもりぶくろ)」は、
日本百貨店など、日本の伝統工芸品を扱うお店で大人気の商品。
「守袋」とは、もともと江戸時代の人々が、
御守りや護符を入れて、着物の懐中に忍ばせた小さな袋のこと。
当時の粋な人たちは、
「ただの袋じゃオモシロクねぇ」と、好みの縁起のいい柄を誂(あつら)えで染めて、
互いに粋を競い合ったといいます。
実は、伝統柄の文様には、
とてもオモシロイ意味や物語がつまっている。
例えば、「兎」の柄は、
「ぴょんぴょん跳ねる」ことから「飛躍・跳躍」を意味する
縁起のいい文様といわれます。
また火除け・火災除けの神様としても信仰されています。
「サイコロ」の柄は、
三つのサイコロが可愛らしく描かれていますが、
サイコロは振るとどれか一つ、必ず目が出るところから、
これは「どう転んでも目が出る=人生の目が出る」という洒落なんです。
江戸っ子らしい遊び心。こちらも縁起がいいですね。
ポンピン堂の守袋の文様は、思いつきで作られたものではなく、
ひとつひとつに昔の人々が大切にした様々な願い・物語が込められているのです。
ポンピン堂さんが、スタートしたのは、
いまから16年前、2002年のこと。
いまや、企業とのコラボもあわせると、
文様の数は90種類を超えました。
家族3人の小さなラインがフル回転の人気工房ですが、
実は、守袋などの生活雑貨が売れるようになるまでには、
意外なドラマがあったと言います。
以下、ポンピン堂の旦那さんの方、
大野耕作さんのお話をまとめてみました。