スローなコメディにしてくれ
Photo N.Kurisu

2017.4.18

靴磨きの楽しさと奥深さに魅了され、人生が変わった若者の話

by 須田 泰成

広島・靴磨き専門店「BURIE」ニッポンの〈はた楽(らく)〉ひとびと

人生を切り拓くイノベーション

ニッポンの はたらく(楽)ひとびと[第一回]
磨いた革靴の光沢に明るい未来が映る。

広島・靴磨き専門店「BURIE」
安部春輝さん(1991年生/25歳)

政府の「働き方改革」がメディアを賑わし、
「働き方」「はたらきかた」を指南する本やセミナーも人気のようだ。
格差が広がり、税金や社会保障費が上がり、
可処分所得や年金が下がり、
ごく一部のソンタク界隈の人間以外は、
一般人は死ぬまで働くがアタリマエになりそうな今の時代。
理想の「働き方」は、国民的な関心事項だ。

大切なのは、賃金? やりがい? 資格? 人脈づくり?

シリーズ企画「ニッポンの はたらく(楽)ひとびと」では、

人生は〈楽〉のある仕事で変わる。をテーマに

「はたらく」という言葉に宿る「らく(楽)」を知り、
はた(傍=周囲)をらく(楽)にして、自分も人生を楽しむ、
一生もんの仕事に巡りあった人を紹介します。

第一回は、靴磨きの奥深さに魅了された広島の若者のお話。


仕事のセレンディピティは、昭和の飲み屋街にあった

〈はた楽(らく)〉人を探していたら、
広島の良いものを広める活動を個人でしている、
山根かおりさんという目利きの女性から、
「広島駅の西側におもしろい昭和の飲み屋街があってですね。
おもしろい人が結構いますよ」という連絡をいただいた。

おもしろい昭和の飲屋街に目がない私は、早速、広島に飛んだ。
いや、実際の移動は新幹線だったのだが、
気分は文字通り「飛ぶ」思いだったのだ。
昭和の飲屋街は裏切らない(笑)

辿り着いたのは、JR広島駅の西側に残る昭和の古い木造の飲食店街。
小さなお店がひしめきあう通称「エキニシ」と呼ばれるエリア。
一見、広島のゴールデン街のようであるが、
しかし、雰囲気は、遥かにカジュアルで、バーよりも、
居酒屋、和食、イタリアン、焼肉、串カツ、お好み焼きなど、
食事が充実した店が多いのが特徴だ。

「この街には、地元の若い人や観光客も集まってきます。
やっぱり、こういった飲屋街に必要なのは、
若い世代や女性などの新しい酒場ファンなんですよね。
どんな産業でも地域でもそうですけど、
若い世代の流入がなければ、将来的に先細るだけになってしまいます」

西口観光案内所と呼ばれる、界隈のハブ的な店、
立ち飲み「ドラ☆キチ」で山根さんの話をうかがっていると、
近くに、20代半ばという若さの「はたらく(楽)ひと」がいると教えられた。

長屋の路地を少し歩くと、
突然、そこだけヨーロッパの裏町のような空気感の一角が現れた。
中を覗くと、なんと靴の工房だった。

看板に西野靴店とある。

「この二階です」

「まさか」と思いながら狭い階段を登ると、予想しなかった光景が現れた。

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須田 泰成

「スローなコメディにしてくれ」
 編集長+プロデューサー+ライター。
always look on the bright side of human life♩な
「もの+こと+ひと」を取り上げながら、
地域や企業のリアル・ムーブメントも熟成発酵させている。

世田谷区経堂と全国の地域の生産者と文化をつなぐ
経堂系ドットコムを2000年から運営。
イベント酒場さばのゆをハブに全国のつながりを醸す日々。
東日本大震災の津波で流された石巻の缶詰工場・木の屋石巻水産
の泥まみれの缶詰を洗って売るプロジェクトは、
さばのゆから全国に広まり、約27万個を販売。
工場再建のきっかけとなった実話をまとめた
復興ノンフィクション
『蘇るサバ缶〜震災と希望と人情商店街〜』(廣済堂出版)が
2018年3月に出版された。
その他、経堂こども文化食堂など、ソーシャルな活動も多い。

本業は、著述、映像・WEB制作、各種プロデュース。
著書に『モンティパイソン大全』(洋泉社)、など。
脚本・シリーズ構成に『ベイビー・フィリックス』(NHK),
『スーパー人形劇ドラムカンナの冒険』(NHK)など多数。

『シャキーン!』(NHK)『すっぴん!』(NHKラジオ第一)
などの番組立ち上げもいろいろ。

テレビ、ラジオ、WEB、脚本、構成、
執筆、制作、講演などの仕事多数。
お仕事も承っております。
Twitter:@yasunarisuda
facebook:https://www.facebook.com/yasunarisuda
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