スローなコメディにしてくれ
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2018.2.23

復興ノンフィクション『蘇るサバ缶〜〜震災と希望と人情商店街』を上梓しました。

by 須田 泰成

お知らせ

こんにちは。
このたび、復興ノンフィクション本を一冊、書きました。
『蘇るサバ缶〜〜震災と希望と人情商店街』(廣済堂出版・刊)です。

東日本大震災の津波で壊滅した
宮城県石巻市の工場跡地に埋まっていた泥まみれの缶詰を、
東京都世田谷区・経堂の商店街の人々が引き受け、
洗って売る活動をはじめ、やがて、支援の輪は、全国に広がり、
2011年末までに22万缶を販売。2年後に工場再建、
4年半後に売り上げ回復という奇跡の復活を遂げた水産加工会社
木の屋石巻水産と経堂の人々の友情と助け合いのリアルストーリーです。




この話は、テレビの特集や新聞記事になったり、
メディアに大きく取り上げられたため、
「知ってる」「缶詰を買ったことある」という方も少なくないと思われますが、
実は、筆者である私が、中心となって行った活動でした。

「木の屋石巻水産」とは、震災前から仲が良く、
同社の美味しい缶詰は、私が経営するイベント酒場「さばのゆ」や
経堂の複数の飲食店でメニュー化され、
2010年には、経堂の人たちこよなく愛される存在でした。
津波で壊滅したと知った後、個人飲食店が一丸となって復興支援を開始。
2011年から12年にかけては、とにかく必死で、
売り上げ回復に至る2015年の秋頃に、ようやく一息つけるようになったと記憶しています。

本書の企画・プロデュース・編集の石黒謙吾さんから書籍化の話をいただいたのは、
まだ緊迫感が漂っていた3年前、2015年4月のことでした。
石黒さんとは、既に12、3年ほど、仕事や飲みの付き合いがあり、
震災の直後から経堂の支援活動のことを身近に感じ、
下北沢の復興支援カフェ「木の屋カフェ」にも顔を出していただいていました。
 
「この活動のことは書籍として残した方がいい!」という力強い言葉に背中を押され、
昨年11月から本腰を入れて執筆を開始。
あの頃のことを思いだしながら書くうちに、あらためて見えてきたのは、
泥まみれの缶詰を洗って売ったことは、ある意味、表面的な現象で、
その下には、小さな缶詰工場の意地と矜持や、
経堂の家族経営の人情酒場の落語のような助け合いの精神など、
深く貴重なものが、たくさんあるということでした。


本書には、復興ドラマの背後にある小さな物語も満載です。
下町出身のお人好しのラーメン屋の大将や缶詰工場の製造ラインで働くオバちゃん、
仕事を休んで車で支援物資を運ぶ若者、GWに石巻に缶詰を掘りにいくボランティア、
津波で家を流された新入社員、木の屋の缶詰を使ったメニューを売りまくる店主など、
たくさん市井の人たちが登場します。
そして、そういった人たちの小さな行動や意志が、
時間や距離を超えて〈つながる〉ことで、奇跡が生まれることがわかります。
その意味において、本書には、
全国の疲弊する地域コミュニティを地に足のついたところから再生するリアルなヒントも詰まっていると思います。

この本を読んで、木の屋石巻水産の缶詰、
経堂の街のファンになってくださるとうれしいです。
そして、苦しみの続く被災地への思いを持ち続け、行動を続ける


売り上げを利用して、経堂こども文化食堂を
東北や全国にじわりと広げる基礎を作りたいと考えています。
みなさま、ゆるしくお願い申し上げます。

見出しすべてこちらに。

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須田 泰成

「スローなコメディにしてくれ」
 編集長+プロデューサー+ライター。
always look on the bright side of human life♩な
「もの+こと+ひと」を取り上げながら、
地域や企業のリアル・ムーブメントも熟成発酵させている。

世田谷区経堂と全国の地域の生産者と文化をつなぐ
経堂系ドットコムを2000年から運営。
イベント酒場さばのゆをハブに全国のつながりを醸す日々。
東日本大震災の津波で流された石巻の缶詰工場・木の屋石巻水産
の泥まみれの缶詰を洗って売るプロジェクトは、
さばのゆから全国に広まり、約27万個を販売。
工場再建のきっかけとなった実話をまとめた
復興ノンフィクション
『蘇るサバ缶〜震災と希望と人情商店街〜』(廣済堂出版)が
2018年3月に出版された。
その他、経堂こども文化食堂など、ソーシャルな活動も多い。

本業は、著述、映像・WEB制作、各種プロデュース。
著書に『モンティパイソン大全』(洋泉社)、など。
脚本・シリーズ構成に『ベイビー・フィリックス』(NHK),
『スーパー人形劇ドラムカンナの冒険』(NHK)など多数。

『シャキーン!』(NHK)『すっぴん!』(NHKラジオ第一)
などの番組立ち上げもいろいろ。

テレビ、ラジオ、WEB、脚本、構成、
執筆、制作、講演などの仕事多数。
お仕事も承っております。
Twitter:@yasunarisuda
facebook:https://www.facebook.com/yasunarisuda
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